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イギリスへの愛がショート寸前。

洋楽PVを再現したい人のためのイギリス旅行ガイド〜The Beatles編〜

音楽の楽しみ方は人それぞれです。レコードを収集するも良し、通勤通学での癒しにするも良し、フェスやワンマンライブに全力を注ぐも良しですが、アーティストゆかりの地を回りながら現地に金を落としまくるという課金方法もあります。そう、旅行です。管理人は、自分たちでカメラを回しながらPVを出来るだけ再現するという形でUKロックへの愛の形を表現する旅行、名付けるならば「PV旅行」を趣味にしています。何を言ってんだと思われるかもしれませんが、侮るべからず。PV旅行にはガイドブックやパッケージツアーにはない楽しみが詰まっています。ということで今回は、私たちの愛するPV旅行のやり方をご紹介していきたいと思います。
 

1. しおりを作る

PV旅行決行のための第一歩は、普通の旅行と同じく計画を練ることからです。筆者らは特に旅行に骨の髄まで入り込むことを重視しているので、12時間勤務の合間だろうが必ずしおりを作成します。全て載せると膨大な量になるため、一部を紹介したいと思います。

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第1回PV旅行の表紙です。2015年〜2016年の年末年始に決行しました。

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続いてステートメントです。プレゼンテーションでも論文でも目的の提示を序盤に置くことは重要です。影響力のある人物の言葉を引用しつつ、簡潔かつ大胆に旅の目的を示します。

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初回だったので、持ち物リストもきちんと書いておきました。カッコ内のネタは細かすぎるので、分かった方はお友達になって下さい。ちなみに、本当に早朝のテムズ川沿いにて、リコーダーでFool on the hillの間奏を吹きました。

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旅程は真面目に記載しましょう。この時は年末に訪れたので、ロンドンの年越し花火を見に行くといった普通の観光もしています。周遊する場所が美術館などではなくロック関連の地というだけの差ですが、Mayfair・Sohoあたりのロンドン中心地はおさえているので、回っているうちに意外と観光できてしまいます。PVの撮影といってもロケハンには行けないので、事前に予定をざっくり組んでおくと楽です。ただし、現地では”ウーフゥー状態”(Song2でのBlurのように正気を失っている状態)になり、どうせ予定は狂うので、綿密すぎなくても良いと思います。

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旅のアイデアを増幅させてくれるのがおまけページです。この時はUKロック人物図鑑とUKロック用語辞典をしおりの巻末ふろくにしました。ほとんどの用語は歌詞やアーティストの発言から拾ったものです。全盛期のニコニコ動画など素晴らしいネタ元から使わせてもらっているものもあります。いわゆるネタ帳として、旅行中にも笑いと新規撮影アイデアを供給してくれます。

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万が一にもけなしてはいません。愛です。

2. 渡英する

予定を組んだら、さっさとイギリスへのTicket で To Rideしましょう。今時スマホでも動画なんてとれます。まずは行きましょう。(私は写真にも映像にもPENTAXのデジタル一眼を使っています。性能良いんだけど重くて首がガッチガチに凝る)

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気分をビートルズに染めるため、爪まで武装している筆者近影。


3. 撮影する

The BeatlesがPVや映画に精を出していたのは主に中期というのは小学校で習う基礎知識だと思いますが、Help!はPV部分がアルプスだったり他のPVはスタジオ撮影だったりするので、映画 "Hard Day’s Night”そして"Paperback Writer/Rain" を、ロンドンで初心者でも簡単に真似できるおすすめ素材として挙げさせていただきます。
 
Marylebone Street Station メリルボーン駅
 
ロンドン中心部にある、地下鉄&鉄道駅。The Hard Day’s Night のオープニングシーンが撮影されたところ。
(この映像を500回くらい見ながら駅周辺をウロウロして場所探しました。)
50年以上の時を経て、今はもう駅構内に電話ボックスなんてなかったり、映画とはだいぶ違う部分もありますが、モノクロ加工すれば…不思議ですね!どんな素人でも「なんとなく雰囲気はビートルズ」な仕上がりが期待できます。

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コミュニティバイクが置いてあったりスマホで電話かけてる人が写り込んでも心折れずに撮影しましょう。

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モノクロ加工なしだとこの通り普通に現代の駅で、1960年代のメリルボーン駅に拘っているのは自分たちだけだという事実を突きつけられます。ポールとおじさんのベンチは、それっぽいもので代用してみました。
 
 
Chiswick House Garden チジックハウスガーデン
 
ロンドン西部の歴史あるイギリス式庭園です。Paperback Writer/RainのPVは、現在のChiswick House and Gardenの表記で言うとEast側、Italian GardenとConservatory and Camelliasで撮影されました。駅近だし楽勝だろと甘くみていたのですが、これが案外、初訪問で辿り着くのに苦労しました。最初間違えてChiswick Parkという場所に行ってしまったのですが、全く毛色の違うビジネスパークでした。ウォルトディズニーのイギリス支社があったなあ。このクソ凡ミスのせいで体力を30/50くらい消費しました、ハハッ(CV.ミッキー)。まあちゃんと事前に確認しておけば大丈夫なのですが、旅行中の人間は知能レベルがポールマッカートニーの数学力程度になっているのでお気をつけください。

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50年以上経っているとは思えません。まんまです。え、ビートルズ、昨日撮影してたんじゃね?

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撮影時の現場とほぼ変わらずに保存されているのは奇跡的です。Paperback WriterのPVのビートルズも超高画質で残っているので、目で見てそのままっぷりを楽しむことが出来ます。グラサンを持っていけば、貴方も超イケメン時代のジョンレノンです。もちろん筆者らも調子に乗って演奏シーンを再現しました。
 
チジックガーデンの公式サイトにも関連記事が載っていて、この撮影オフショットの4人が信じらんないくらいのイケメンなので、こちらもご参照ください。
 

4. 小道具を活用し、愉快にゆかりの地を回る

さて、イギリスにはPVのロケ地以外にも様々な魅力的なロック巡礼地があります。挙げればキリがないのですが、この時はリバプールビートルズゆかりを地をめぐるマジカルミステリーツアーに参加したり、アビーロードを横断したり、ルーフトップのあるサヴィル・ロウなどにも訪問し、一週間ちょいで十分楽しむことができました。外気5度・冷たい雨が降る正月のリバプールでも、ジョージとリンゴの映画Help!コスプレ(原宿で買ったコートを徹夜で縫って加工したもの)を着通す、気合いが全て〜All you need is guts〜な旅だった記憶があります。

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(ちなみにマフラーはアーセナルのものを現地調達しました。リバプールで装着するときは現地チームのファンに殺されないように気をつけましょう)
この衣装のおかげでアビーロードではロシア人ファンに話しかけられるわ、全体的になんとなく人が優しいわ、良いことづくめでした。筆者は現在一時的にイギリス在住ですが、このビートルズコスプレ時よりフレンドリーに接された経験はありません。
 
冒頭で書いたように、PVをできる範囲で再現することが我々の目的なので、完璧さよりも自分たちの愛を表現することの方に重きを置いています。そもそも上記の衣装がビートルズによって着られていたのはアルプスですが、リバプールの港で動きだけ真似した映像を撮っていたら、なんか大体再現できてんなという気になりました。
 
また、しおりで書き出したUKロック用語辞典や思いつきに従って書き殴れば即席フォトプロップスが出来上がるので、スケッチブックの携行もおすすめです。

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スケッチブックの「コラ画像感」は旅行をワンランク面白くしてくれること間違いありません。旅先のスケッチブックはコミュニケーション手段にもなるハーマイオニー並みの優等生。なぜ旅行ガイドの「持っていくと便利なもの」一覧にスケッチブックと書いてないのか不思議なレベル。ただし、どう足掻いてもインスタには映えないので、そこらへんはご容赦ください。
 
 
以上、PV旅行の魅力が少しでも伝わったでしょうか?
イギリスといえば大英博物館!ビッグベン!コッツウォルズ!も良いですが、愛するロックをもっと愛せる撮影旅行という方法もありです。ビートルズなのに2人で再現したんだ…、という管理人2人の交友関係事情には最後まで気づかないで頂けると幸いです。